タイル製品が廃盤になった理由

 去る、2007年12月 。
タイルのトイレと他タイル製品すべてが惜しまれながらも廃番。
と同時に、新しいタイプのトイレ「NEW only one」の開発が始まっていました。

この新しいトイレの開発期間は、実に構想から1年半。
簡易試作品と、製品化に向けての試作品を合せると、なんとその数20回以上にもなります。
実は当初、このトイレは樹脂で製作する予定でした。
デザインコンセプトは、ノートパソコン。 L字に開閉するようなイメージで商品作りを進めていたのですが、どうしても樹脂で作る場合、初期投資としてかかってしまう型代(金型で立体を形成する型のこと)がネックになっていました。
樹脂製品を作る際の金型は、300万以上かかる物なのですが、個人商店レベルでのものづくりの場合は販売台数を考えるとまったく採算が合わず、この予算の捻出と販売方法に悩んでいたのです。




 

 

そして、ある日のこと。
いつも通りに、私のもうひとつの生業である建築デザインの打ち合わせで、職人さんのところで打ち合わせ をしているところでした。
その職人さんは、主に木工や家具を作っていて、私が大工をやっているときからの付き合いで、その豊富な経験から、今でも学び舎と慕っている職人さん。
「そういえば、職人さんは、樹脂加工なんてやったことあります?」 何気なく、尋ねたときに返ってきた言葉に、すべての答えがあったのです。

「樹脂加工はないけど、こーりゃんならあるよ。」
「は? こーにゃん? こーちゃん? なんすか、それ?」
「(笑)違うよ。コーリャンだよ、コーリヤン、 人 工 大 理 石 」
・・・これだっ!って、思って、居ても立っていられず、そのままその職人さんに教えてもらった、人 工大理石の加工場へその日のうちにアポイントをとり訪ねて行きました。
その後、この大理石を使って、犬のトイレの試作品を2回、3回と重ね、次々に浮き彫りになる問題をひとつひとつ、 しらみ潰しのように解決していきました。
面(エッジ部分のこと)の細かなディティールから、全体のバランス、磁石の強さなど、 使用感も納得のいくところまで突き詰める。 そして、フタを取ったときの、指先に触れるタッチ感や、磁石がくっつく「カチッ」とした感 じ、高級感ある、石の持つほどよい重量感を何度も確かめながらの試作。
底面の脚にはオリジナル で製作したゴムで1~ 2mmほどの空きを設け、 表面、底面の丸みによっ て、少しライトな印象の ディティールにすること ができた。

こうして、やっとの思いで製品化に辿り着いたの が、2008年4月。
ここに書いた、オリジナルで作るプロダクションの流れは、物が違っても、同じような挫折や苦労が必ずあるものです。
実は、冒頭で紹介した、廃番になったタイルトイレも例外なく、同じような道のりを経て製品化 されました。
ですが、人気が出れば出るほど、そのまま同じようなデザインや仕様で模倣品が出てきてしまう。 仕方のないことなんだけれど、本当は、模倣品が出る度、すごく頭にきたし、いちいち感情的に なっていました。 それは、私たちが、苦労して苦労して、何度も挫折して挫折して、それでも諦めずに、やっとの 思いで出してきた、アイデアや、形というのが、いとも簡単に、何の罪悪感もなく、そのまま 勝手に使われてしまっているという、その行為に対しての怒りです。
タイルトイレの時は、その怒りの矛先を、どこに向けたらいいのかさえ、分からなくなってし まった。 そして、私の最終的な決断となったのは、そのデザインをやめること。 つまり廃番にすることだったのです。



ハンドメイドの作品

 タイルトイレは、続けて販売していたら、きっと、もっ と多くの人へ届けることができた作品かも知れません。 またそれを望む人もいたかも知れない。
ですが、それは私たちのやるべきことではないと、きっぱり決意したのです。

それは、weというお店が犬と暮らす人のインテリアショップとしての先駆者になれるのであれば、新しい物を産み出すこ と、挑戦をし続けることこそが、使命であると思ったから。
逆に言えば、そのくらいの確固たるチャレンジ精神や、ブランドを目指すショップとしてのイン パクトがなければ、パイオニアになんかなれるわけないと思ったのです。
そして、私は、ペット用品だけではな く、家具、建築設計のデザイナーと しても、自分への挑戦を、常にしなけれ ばいけない。 むしろそのことこそが、生き甲斐であっ て、ものづくりの楽しみなのだから、いちいち感けてしまっている場合じゃない と再奮起したってわけです。









weの作品は そもそも、ほとんどの作品 が手作りです。
このトイレだって、型で抜いて作っているわけじゃなく、1つ1つ削りだして作っています。

だから、そのどれもが、本当に世界にたったひとつのオリジナルのハンドメイドの作品です。
作っている工程においても、これで終わり。という妥協での終わり というのは、絶対にありません。

どの作品も自信と納得が持てる極限のラインまでは、それを手がける職人さんと一緒になって責 任をもって仕上げてます。 だから、作っている本人も納得のいくものを作っているから、その作品が大好きになる。
作り込めば、作り込められたプロダクトほど、実際に使う人に伝わる。
そう、信じています。


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フラットなディテールが美しい犬のトイレはこちらからご覧いただけます。

立ち上がり部分が付いた男の子用の「only one」こちらはオーダーを受けてから1つづつハンドメイドで仕上げます。