ボクはここにいるよ。
キミがそこにいてよかった。


小さなメリーが
残してくれた大切なこと
白い小さな犬と少年の写真。
この少年は、いまから60年前の私です。当時(昭和30年代)の日本はまだまだ貧しく、家にはカラーテレビはもちろん、ゲーム機などもありませんでした。
でも私は、とても幸せな子どもでした。
その理由のひとつが、メリーという名の小さな犬の存在でした。
幼稚園で飼っていた犬に子犬が生まれ、
そのうちの1匹を譲り受けたのが出会い。
メスの雑種犬で、白くて、フワフワとしていて、
まるで羊みたいだからメリーと名づけた、
我が家に迎えた初めての犬でした。
あとになって知ったことですが、私が生まれる前に、私の兄にあたる子を失くした両親にとって、私が連れてきたメリーは、悲しみや寂しさを癒してくれる存在でもあったようです。
当時は、犬は屋外で飼うもので、我が家もメリーを外で飼っていましたが、メリーと私はいつも一緒にいたように思います。
食事といえば、もっぱら食卓の残り物でしたし、私自身も良くないこととは知らずに、苦手な食べ物をこっそりメリーに与えたりもしていました。
それでもメリーは、私が中学を卒業する頃まで生きてくれました。
心で見なければものごとは
よく見えないってこと。
大切なことは目に見えないんだ。
問題は大人になることじゃない、
忘れることだ。
あれから長い年月が経ち、私自身が大人になって
「大切なことを忘れているんじゃないか」と、
ふと思うことがあります。
小さなメリーが私に残してくれた、とてもとても大切なこと。

ボクはここにいるよ
キミがそこにいてよかった
子どもだった私と、犬のメリー。
一人と一匹の幸せな関係を、どう表現したらよいのだろうと考えていた時、私は、ひとつの言葉に出会いました。
I’m here.
I’m glad you’re there.
ボクはここにいるよ。
キミがそこにいてよかった。
これは、
「タイタンの妖女」という小説に出てくるハーモニウムという妖精が話すたった2つだけの言葉です。私とメリーは、まさにこの2つの言葉で語り合っていました。
私がここにいて、あなたがそこにいる、それが喜び。以来、この言葉をwe originalのコミュニケーションメッセージとして大切にしています。
大人になるにつれ、損か得かで判断したり、本意ではないことを言ったり、物ごとを複雑に考えたり、ひとつひとつ大切なことを忘れていくように思うことがあります。
おとなは、だれも、はじめは子どもだった。(しかし、そのことを忘れずにいるおとなは、いくらもいない。)
犬や猫と暮らす何気ない日常にある大きな幸せ。
でも大人はそれを見失いがち―。
そんなことをスタッフと話しているうちに
「それが私たちの仕事の原点ですよね」
「心に留めておけるよう、何かかたちにしたいですね」ということになり、できあがったのが、このブランドアイコンです。
お付き合いのある、とてもセンスの良い女性デザイナーさんにお願いし、私たちの想いを素敵なかたちにしていただきました。少しノスタルジックな感じがスタッフのみんなに好評です。
人と犬や猫たちとの心で分かりあえる関係が、少しでも伝わればうれしいです。

ブランドの原風景
そして未来へ
中学生のときにメリーを見送ってから、犬と暮らす機会になかなか恵まれなかった私ですが、メリーが亡くなって30年ほどのちに、白いゴールデンレトリバーの女の子を迎えることができました。
毛色が白だからと、当時小学生だった娘がつけた名前はユキ。ユキは、娘が社会人になる頃まで生きてくれました。晩年になって、緑内障を患い両眼を摘出することになり、大好きなお散歩も、ままならなくなってしまったユキ。
それでもユキは、見えない世界で生きながら、私たち家族の愛情に応え、たくさんの幸せな思い出を残してくれました。
なかでも家族で山の中にあるブリーダーを訪ね、初めて出会った日のことは、一生忘れることのない大切な思い出です。
最後になりましたが、この写真は、私が子どもだった頃の家族の肖像です。
we originalの原風景といってもいいでしょう。
写真には写っていませんが、私には兄がいました。現在ほど医療が発達していなかった時代、心臓に病を抱えていた兄は幼くして他界しました。
あなたが虚しく過ごした今日という日は、
きのう死んでいったものが、
あれほど生きたいと願ったあした
私が社会人になった頃に、父が当時の心境を語ってくれたことがあります。
何もかもが嫌になって、無性に北の果てに旅に出たくなったと。
戦場を生き抜いて帰ってきた父にとっても、我が子を失うということは耐えがたい出来事だったに違いありません。
お兄ちゃん!と直接呼べない存在でしたが
天国にいる兄、父、母。
そして、メリー、ユキへ。
私は、今日も元気にやっています。
そして、これからも。
みんなが残してくれた思い出と学びを糧に、人と犬や猫たちが、心からつながり、何気ない日常のなかで幸せを感じることができる―。
そんな心あたたかい商品を
世の中に届けていきたく思います。
